「井筒屋旅館は、稲荷講の参詣者が多かった頃、また昭和60年のつくば万博の時は、客室が連日満室で、大盛況だったのですよ」と、旅館最後の管理者の宮本さんは話される。
稲荷講とは、五穀豊穣、商売繁盛を願う信者衆が、講話を聞くなど参詣する集まりのことで、昭和30年頃まで盛んであった。因みに、歌手の坂本九さんは『川崎開運講』に属されていて、時折笠間稲荷神社を訪れていらしたようだ。
宮本さんは、「朝、笠間稲荷から装束に身を包んだ案内人が、講中の宿泊者を井筒屋に迎えに来られていた光景が、今でも思い出されます」と、話して下さった。 稲荷信仰に導かれた古き良き風習がだんだんと消えていくことは、時代の流れとはいえ残念でもあり、少し寂しくもあった。(純)
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